葉巻はヒュミドールでどれくらい持つ?
早速本題に入りましょう。ヒュミドールのコンディションをきちんと整えて、シーズニングをしっかり行い、湿度と温度を安定させていれば、保存期間は「数ヶ月」どころではありません。「数年単位」で楽しめます。正直、良い状態なら5年は余裕で持ちます。僕の友人のReidなんか、10年以上熟成させた葉巻を今でも吸っているほどです。驚きですよね。しかも、ただ「持つ」だけじゃなくて、プレミアムシガーは熟成することで滑らかさや複雑さが格段に増していきます。
シガーのエイジング

僕の友人Nolanは、葉巻をワインコレクションとよく比べるんですが、確かにその通りなんです。時間をかけて熟成させるほど、味わいが良くなっていきます。実は、エイジングの旅は葉巻になる前から始まっています。大手ブランドは、タバコ葉をじっくり寝かせて熟成させるんですね。この工程が雑味を取ってくれるんです。巻いた後も、メーカーによってはさらに休ませてから出荷します。フィラー、バインダー、ラッパー――この三位一体のオイル分が馴染んで、ひとつのまとまった風味を生み出すんです。そして僕らの手元に届いたら、いよいよ「ボックスエイジング」の出番。ヒュミドールで何年も寝かせて、魔法がかかる瞬間を待つわけです。
エイジングの効果を一番実感できる方法は、ちょっとした実験をしてみることです。例えば、Padron 1926 Seriesみたいな好きな銘柄を5本パックで買ってみてください。まずは1本、買ったその日に吸ってみる。残りの4本はヒュミドールに入れて(もちろん安定した状態で)、リマインダーをセットします。1ヶ月後に2本目、3ヶ月後に3本目、6ヶ月後に4本目、そして最後の1本は1年後の記念日に。必ずテイスティングノートを書き残してください。味わいや強さ、香り、余韻など、細かく記録するのがポイントです。1年後にノートを見比べると、その変化に驚くはずです。
なので、長期熟成を狙うなら、プレミアムシガーは10年、場合によってはそれ以上も十分いけます。大事なのは、しっかりとした保存環境を保つことです。よく「70/70ルール」(摂氏21度・湿度70%)が推奨されますが、僕はもう少し低めで管理しています。湿度は65〜68%、温度はだいたい摂氏18度くらいを目安にしています。なぜかというと、安定が何より大事だからです。変動は大敵。完璧な「70/70」を追いかけて上下するより、少し低めでも安定している方が、葉巻にはずっと安全だと思っています。
葉巻の正しい保管方法

葉巻を本気で楽しみたいなら、ちゃんとしたヒュミドールは必須です。それが全ての基本。ほとんどのヒュミドールや、葉巻が入っている箱の内側にスペイン杉が使われているのには理由があります。見た目だけじゃありません。この木材は本当に優秀で、ヤニや樹脂分が少ないので葉巻の風味を邪魔しません。湿度管理にも抜群で、あの独特の香りも魅力。しかもタバコビートル(害虫)も嫌うので、一石二鳥です。
新しいヒュミドールを探しているなら、自分のライフスタイルに合うものを選ぶのがポイントです。僕の友人Wesleyはファン付きの電動ヒュミドールを使っていて、正直うらやましいです。空気の循環が完璧なので、どの葉巻も均等に保管できます。僕みたいな昔ながらのデスクトップ型なら、もう少し手間をかける必要があります。2週間に一度くらい蓋を開けて、空気を入れ替えて新鮮さを保つようにしています。
どんなタイプでも、絶対に必要なのは3つ。しっかり密閉できるシール(本当にしっかり!)、加湿システム、そして信頼できる湿度計です。加湿に使う水はケチらず、必ず蒸留水かプロピレングリコール溶液、もしくは僕のおすすめですがBovedaパックを使いましょう。これが一番手軽です。さらに、湿度計のキャリブレーションは3ヶ月ごとにアラームをセットしてチェックするのがベスト。数値が狂うと、コレクション全体が台無しになりかねません。
葉巻は「入れて終わり」じゃありません。定期的なチェックが必要です。加湿源の状態を見て、必要なら補充する。温度が不安定になっていないかも確認しましょう。そして重要なのが葉巻のローテーションです。僕が葉巻を入れ替えているのを見て、妻のMarenは呆れていますが、実はこれが大事なんです。下段の葉巻は加湿器に近い分、湿気を吸いすぎることがあるので、1ヶ月に一度くらい上下を入れ替えています。これでどの葉巻も均等に熟成できます。
さらにプロっぽいコツをもう少し。葉巻はブランドごと、もしくはフレーバープロファイルごとに分けて保管するといいです。例えば、ニカラグア産のスパイシーな葉巻と、ドミニカのマイルドな葉巻を隣同士にすると、風味が移ってしまい、どちらも変な味になりがちです。また、ヒュミドールを詰め込みすぎるのもNG。空気が循環できるように、全体の25%くらいはスペースを空けておくのが理想です。葉巻にも「呼吸」が必要ですから。
ヒュミドールのシーズニング

これは声を大にして言いたいですが、新しいヒュミドールのシーズニングは絶対に省略しないでください。どんなにワクワクしていても、乾いた箱に葉巻を入れると、木がスポンジのように湿気を吸い取ってしまい、葉巻が一気にダメになります。シーズニングは木材を湿度に慣らすための準備でもあり、反りやひび割れも防いでくれます。正直、コレクションのために一番重要な作業と言っても過言ではありません。
まずは湿度計のキャリブレーションをして、信頼できる数値を確認しましょう。用意するのは、蒸留水(またはPG溶液)、新品のキッチンスポンジ(石鹸は絶対NG)、小さめのビニール袋、ペーパータオルです。スポンジを水でしっかり濡らし、ポタポタ垂れない程度に絞って、ビニール袋の上に乗せてヒュミドールの中へ。加湿器も蒸留水でしっかり浸して、余分な水分はペーパータオルの上で30分ほど置いて抜きます。加湿器と湿度計を箱に入れ、木製トレイや仕切りがあれば一緒に入れてシーズニングしましょう。蓋を閉めたら、最低2日間は開けないでください。
2日経ったら、もう一度スポンジを濡らして、さらに24時間入れておきます。この時、湿度計が80%や85%と高い数値を示しても慌てないでください。木をしっかり湿らせている証拠です。最後の24時間が終わったら、スポンジと袋を取り出します。翌日には湿度が70〜72%くらいに落ち着くはずです。ここから、いよいよ葉巻を入れてOKです。
自分に合った質の良いヒュミドールに投資する価値は十分あります。コレクションの規模を正直に見極めましょう。箱買い派なのに50本用の小さいヒュミドールを選んでも意味がありません。小さなトラベルケースが必要な人もいれば、デスクトップ型がちょうどいい人もいますし、Desmondみたいにウォークインクローゼットを作るほどのマニアもいます。自分のスタイルに合ったものを選んでください。
定期的なチェックを忘れずに
葉巻を箱に入れたからといって、そこで終わりではありません。定期的なチェックこそが、ヒュミドールがきちんと働いているか、葉巻が最適な状態で保管されているかを確認する唯一の方法です。
湿度と温度の管理は常に意識しましょう。葉巻の表面にプルーム(白い粉)が出ていないか、カビが生えていないかもチェックしてください。最も簡単なチェック方法は「ピンチテスト」です。葉巻を親指と人差し指で軽く挟んでみて、少しだけ弾力があれば理想的です。ふにゃふにゃしていたら湿度が高すぎ、硬くてパキパキなら乾燥しすぎ。手触りで状態を把握できるので、ぜひ試してみてください。