初めてのヒュミドール設定:完全ガイド
シガーヒュミドールとは、湿度をコントロールできるボックスや容器で、タバコやシガーを理想的な環境で保存するためのものです。この分かりやすいガイドでは、シガーを最高の状態で保つためにヒュミドールを活用する方法を一通り解説しています。
ヒュミドールのセッティングで迷ったり、行き詰まったりしているならご安心ください。20年シガーを愛好してきた私が、ヒュミドールの使い方やセッティング方法をしっかりお伝えします。このチュートリアルガイドを使えば、ヒュミディファイアーのセッティングも簡単かつ確実に行えます。

それでは、手順をお教えします。
新しいヒュミドールが届いたら、すぐにシガーを詰めたくなる方も多いと思いますが、ウッド部分を再加湿せずに入れてしまうとシガーを傷めてしまいます。
なぜでしょうか?
というのも、内部の木材は乾燥したスペイン産シダーで、まだ湿度65%のバランスに達していません。そのまま入れると、シガーの水分がすべて木に吸われてしまい、理想的な状態とは言えません。
1. シガーヒュミドールの仕組み
シガーヒュミドールの役割は、シガーの保存に最適な環境温度と湿度を再現することです。
ヒュミドールで保管すれば、シガーは時間とともに熟成が進みます。ワインと同じように、シガーもエイジングすることで味わいが深まるもの。ただし、適切な温度と湿度で管理しないと、すぐに鮮度や風味が損なわれてしまいます。

2. ヒュミドールの再加湿方法(使用前の準備)
すべてのヒュミドールは、使用前に再加湿しておくのがベストです。シガーを入れる前に、ヒュミドール内の湿度と温度をしっかり整えましょう。
そのためには、以下の手順でヒュミドールをセッティングしてください。
まず必要な道具を揃えておきましょう。主なものは以下の通りです。
- 湿度計(ハイグロメーター)
- 蒸留水
- ビニール袋
- 布やスポンジ

それでは、手順を順に説明します。
- ヒュミドール内部の掃除に水を使うのは避けてください。シダー材のライニングを傷めてしまうのでおすすめしません。どうしても拭き掃除をしたい場合は、蒸留水で軽く湿らせた清潔な布で優しく拭きましょう。
- ヒュミディファイアーをセットします。内蔵タイプの場合は、プロピレングリコール溶液を満タンに注いでください。表面に水滴が残らないよう乾いたタオルで1時間ほど覆っておくと安心です。
- ヒュミディファイアーとは別に、水を入れた皿やプラスチックカップをヒュミドール内に置きます。
- ヒュミディファイアーを充電したら、ヒュミドールにセットします。
- 校正済みの湿度計もヒュミドール内に入れてください。
- フタをしっかり閉じます。
- 湿度計のキャリブレーションも忘れずに確認しましょう。
- 1日経ったら、ヒュミドール内の湿度をチェックします。ヒュミディファイアーが少しずつ水分を放出し、ヒュミドールがじっくりと馴染んでいきます。
- 新しいヒュミドールの相対湿度が65%〜70%になるまで、シガーはまだ入れないでください。
- この工程はヒュミドールのサイズや気候によって2日から15日ほどかかる場合があります。特に乾燥した地域では、ヒュミディファイアーを追加で使うと安心です。

これでシガーをヒュミドールに保管できるようになります。ただし、シガーを入れるときはヒュミディファイアーの通気口をふさがないように注意しましょう。
必要であれば、ヒュミドールの掃除も次のステップとして行います。新品の場合は掃除不要ですが、使用済みならタバコのカスなどを除去しましょう。エアダスターで軽く吹き飛ばし、柔らかい布で拭き取るときれいになります。
その後、ヒュミドールのシーズニング(馴染ませ)が必要です。
3. ヒュミドールのセッティングと使い方
- ヒュミドールのセッティングと使い方
- ヒュミディファイアーを蒸留水を入れたボウルに完全に沈めます。水道水は成分でダメージを与えることがあるので使わないでください。
- ヒュミディファイアーは表面を下にして、最大3分ほど浸けておきます。
- 取り出したら、余分な水分をしっかり拭き取ります。
- ヒュミドールの底にビニール袋を敷きます。
- 蒸留水で湿らせたスポンジをビニール袋の上に置きます。
- 湿度計とヒュミディファイアーをヒュミドールのフタ側にセットします。
- フタを閉じて12〜24時間そのままにします。長く置けるほど効果的です。
- この工程を繰り返します。
- 湿度が65%〜75%になっていれば、シガーの保管準備は完了です。
4.シガーヒュミディファイアーの充電方法
ヒュミディファイアーが保管中の場合、充電式バッテリーはシーズンごと、または年4回(3ヶ月ごと)にフル充電・放電してください。理想的な湿度を保つため、定期的な充電が必要です。
- ヒュミドールからヒュミディファイアーを取り出します。
- グレート部分から蒸留水または専用加湿液を少量注ぎます。全体を浸すのではなく、表面が軽く湿る程度で十分です。
- 余分な液体は乾いた布でしっかり拭き取ります。
- ヒュミディファイアーをヒュミドールのフタに戻します。

5.ヒュミドールに最適な温度とは
すべてのヒュミドールには校正済みの湿度計が付属しています(トラベルヒュミドールを除く)。シガーの最適な風味と強さを保つには、できるだけ21℃前後、湿度は約70%を目安に保管することが重要です。そのための理想的なツールがシガーヒュミドールです。

多くのシガースモーカーは、ヒュミドールの湿度が65%を維持できないと故障だと思いがちですが、実際にはそうではありません。シガーは60〜75%の範囲で安全に保管できます。65%が適正な保管湿度だという意見もあれば、推奨される喫煙時の湿度は80%に近いという声もあります。いずれにしても、この範囲内で湿度を管理できていれば、シガーは問題なく保管されています。
乾燥気味のシガーが好みの方もいれば、しっかり湿った状態を好む方もいます。自分に合った湿度のゾーンは、使っているうちに自然と分かってくるでしょう。湿度計の設置場所については、満足できる位置であれば特に気にする必要はありません。ただし、正確な数値を得るためには、湿度計の周りに空気が循環するようにするのが理想的です。フタに取り付けるか、ヒュミドールの内部で試してみるのがおすすめです。
6.加湿器の設置場所
ヒュミドールの湿度は加湿器によって一定に保たれています。加湿器をセットする際は、次の手順を参考にしてください。
- まず、ヒュミドールから加湿器(複数ある場合はすべて)を取り出します。
- 加湿器のグリル部分から、蒸留水または当社の加湿液(蒸留水とプロピレングリコールの混合液)を注ぎ入れます。
- 加湿器を満杯にするのは避けてください。しっとり湿る程度で十分で、びしょ濡れにする必要はありません。
- 加湿器の表面に余分な液体が残っている場合は、タオルで拭き取ってください。
- 最後に、ヒュミドールを元通りに組み立てます。
7.シガーヒュミドールの基本ルール
シガーが少し乾燥していると感じた場合は、「ピンチテスト」と湿度計を使い、オアシス部分を蒸留水でリンスし、プロピレングリコールや加湿液の配合を調整しましょう。一般的に、加湿液は湿度を下げ、蒸留水は湿度を上げる働きがあります。

8.ヒュミドールをセットアップする際の注意点
ヒュミドールを最良の状態で使うために、セットアップ時に気をつけたいポイントをまとめました。
- ヒュミドール内の加湿器には、蒸留水・ポリグリコール・防カビ剤を混ぜた加湿液を定期的に補充しましょう。これにより、ヒュミドール内の湿度が65%(±2%)で安定します。
- ヒュミドールは、室温が摂氏21度(華氏70度)を超えない場所に設置してください。理想的な温度は摂氏18〜22度(華氏65〜72度)です。相対湿度は55〜65%が最適です。加湿器は水を注いだらすぐ使えるので、数日待つ必要はありません。
- シガーの状態を確認するには、リングの下あたりを親指で軽く押してみてください。しっかりとした弾力があれば良好なコンディションです。硬くパリパリしている場合は湿度不足、逆にフニャフニャしている場合は加湿しすぎです。
- シガーのラッパーに「ブルーム」と呼ばれる白いカビのようなものが出ることがあります。これは過剰な湿度が原因ですが、品質や味には影響しません。柔らかいブラシでシガー全体を優しく掃き、フット(開口部)まで落としてください。
- ハバナ産のシガーは空気を必要とします。あまり頻繁に吸わない場合は、週末ごとにヒュミドールを開け、下の層のシガーを上に移動させるなどしてローテーションしましょう。ヒュミドールのシガー収納部分にカッターやライターなど金属製品は入れないようにしてください。

9.ヒュミドール設置時の注意点
適切なメンテナンスを行えば、ヒュミドールは長く使えます。大切な投資を守るための基本的なポイントをご紹介します。
- ヒュミドールが倒れやすい場所には置かないようにしましょう。
- 加湿器を外に出したままにしないでください。内部が高温になり、木材が色あせる原因になります。
- 加湿器の上に物を置くのは避けてください。
- ヒュミドールを掃除する際は、必ず柔らかい布を使いましょう。
- 家具用ポリッシュや蜜蝋など、品質の良いクリーナーでヒュミドールを安全に磨くことができます。
- 定期的にホコリを払えば、いつまでも新品のような見た目を保てます。
- ヒュミドールの内部は、水やその他の液体で掃除しないでください。木材が傷んでしまいます。
10.ヒュミドールのお手入れ方法
ヒュミドールを長持ちさせ、性能を維持するには、しっかりと手入れすることが大切です。以下のポイントを参考にしてください。
- ヒュミドールは、倒れる心配のない場所に保管しましょう。
- 直射日光が当たらないようにしてください。
- 掃除には蜜蝋ポリッシュと柔らかい布を使うのがおすすめです。
- ヒュミドールの木材は水に弱いので、使用は避けましょう。少し湿らせた布だけで十分です。

11.ヒュミドールの置き場所について
ヒュミドールの保管場所によって、加湿器の性能も左右されます。カビを防ぐためにも、涼しく乾燥した環境に置くのが理想です。直射日光の当たる場所は避けましょう。高温多湿になると、シガーにカビやタバコ虫が発生することがあります。
室温は摂氏18〜21度(華氏65〜70度)が理想です。また、ヒュミドール内でシガーが通気口を塞がないように気をつけてください。
まとめ
まずはヒュミドールのシーズニングが重要です。この工程をしっかり行えば、シガーの湿度と鮮度を保てます。使っているヒュミドールの仕様に合わせて、最適な方法を調べてみてください。シーズニング不足でシガーが乾燥し、傷むのが一番避けたい事態です。さらに、2週間ごとに湿度をチェックしましょう。70%を下回ったらすぐに対応を。ヒュミドールには蒸留水か専用ソリューションを必ず補充してください。
また、温度計や湿度計が正確に動作しているかも忘れずに確認しましょう。保管場所は涼しく乾燥した環境がベストです。直射日光は避けてください。シガーを入れる際は、ヒュミドールの通気口を塞がないようにしましょう。
ここまで読めば、ヒュミドールの正しい管理方法はほぼ網羅できたはずです。
最後に、ヒュミドールのサイズやメーカー、ブランドによって管理方法が異なる場合があるので、ぜひ時間をかけてベストな手順を学んでみてください。詳しい仕様は当社のウェブサイトでもご覧いただけます。
関連情報:
よくある質問
湿度が高すぎる場合はどうしたらいいですか?
私の実験から言うと、ヒュミドールの上部に鉛筆やペンを使って少し隙間を作り、余分な湿気をゆっくり逃がす方法が一番おすすめです。ヒュミドールを揺らさずに済むので安心ですし、数時間かけて湿度が徐々に下がります。もしフタを完全に開けてしまうと湿度が一気に下がってしまい、気づかないうちに適正値を下回ることがあるので注意が必要です。
逆に湿度が低すぎる場合はどうしたらいいですか?
ヒュミディファイアーに蒸留水を追加し、ヒュミドールの密閉性をしっかり保つことで調整できます。
ヒュミドールのフタを閉め忘れてしまいました。再加湿は必要ですか?
はい、ヒュミドールを使ってシガーを再加湿する必要があります。そのままだとシガーの味が損なわれてしまいます。
ヒュミドールでどれくらいシガーを新鮮に保てますか?
ヒュミドール内であれば、シガーは数ヶ月から数年、設定によっては最大5年まで保管可能です。
なぜヒュミドールには蒸留水を使う必要があるのですか?
蒸留水は不純物や有害な成分が含まれていないため、シガーをより長持ちさせることができます。
ヒュミドールのセッティングが重要な理由
1. 長期保存
2. 味わいの向上
3. 劣化防止
4. 適切な湿度管理でシガーの乾燥を防ぐためです。
小型シガーヒュミドールのセッティング方法
1. シガーボックスの内部は水で洗わないでください。
2. ヒュミディファイアーをセットし、プラスチックカップや皿に蒸留水を入れてヒュミドール内に置きます。
3. 24時間以内にヒュミドール内の湿度を確認します。
4. 相対湿度が65%〜70%になるまで新しいシガーは入れないでください。
トラベルヒュミドールのセッティング方法
1. トラベルシガーボックス内の湿度をチェックし、高すぎないか確認します。
2. 蒸留水に柔らかいコットンタオルを浸し、軽く絞ります。
3. そのタオルでトラベルヒュミドールの内部を拭きます。
4. ヒュミディファイアーを入れて湿度を測定します。
5. 湿度が65%〜75%になったらシガーを入れてください。
ボヴェダを使ったヒュミドールのセッティング方法
ボヴェダをそのままシガーボックスに入れるだけでOKです。ボヴェダが湿度を自動で調整し、安定した状態を保ってくれます。